2024年秋 古楽演奏会に出演して

東海バロックプロジェクト第6回公演 2024年9月21日 ザ・コンサートホール
音楽で紡ぐ シェイクスピアの世界 ~英国コンソートと劇音楽~ に、出演。
「顧問」という肩書きを貰い、謂わば特別扱いで出演。若いメンバーの中に混じっての演奏であり、メンツにかけて下手なことは出来ない、という思いを持ちながら参加。
イギリスのルネサンス・バロックの歌、少しは歌ったことがあるけれど新参者に等しい。目立つ曲をもらい、引き立てて貰う。責任は多い、と思うのは私の驕りかな? そこにはイタリア・ドイツとは明らかに違う音色を感じる。歌いつつ、ここの低音に負荷が欲しいと思っても、気持ちに反して、器楽は軽く優雅に進む。軽やかで優しい。映画「ロミオとジュリエット」のパーティで二人が出会う場面を思い出す。「そうか!もっと軽やかに演奏されなければならない」と思ったのは、本番直前。悲しいかな、急には方向転換出来ない運動神経の鈍さ。もう少し若かったらもっと柔軟に対処できたであろうと、負け惜しみを呟きつつ、とうとう最後まで今の私の歌い方になってしまった。
「英国ルネサンスとはちがうなあ」と思われた方も多いのではと思う。自分がそう思うのだから。二人の若い歌手にこそ相応しかったのではとも痛切に思う。私に花を持たせようとしてくれた気持ちはありがたいし、事実私は挑戦したかったので(尤も、若くても、出来なかったかもしれないが)辞退もしなかったわけだから。そんな私を労るってくれる周りの皆の優しい気持ちを感じるとき、いよいよ以て 自分が歳を重ねた(老いた、とは言わない)ことを実感する。優先席を空けて貰っちゃった心境かな。
歳を重ねる、とはそれは即ち、筋肉の硬さ、柔軟さの減少が生じていること。「・・・そうか・・」と、悲しさと諦めが混ざった気持ちを歌いながら初めて感じた。さみしさと悔しさ。そんな自分を省みた瞬間だった。
自分でも、自分自身の今を予感しつつ、でも見ないようにしていたものが、ついに白日の下にさらされた、とういことだ。やむなし!である。しかし、それは「歌う事を辞める、諦める」という気持ちになったわけではない。上手く言えないが、自分を知って、受け入れて、そこからまた何かを始めようと思ったことであった。

